めん処しかた(閉店)
青葉区の記憶

青葉台「めん処しかた」最後の一杯
2003年から19年、納豆つけ麺とあぶり正油の記録

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2026年9月2日取材・文 横浜青葉チャンネル編集部

青葉台駅から歩いて3分。榎が丘の路地に、狸の置物が置かれた白い外観の店がありました。「めん処しかた」。2003年3月に開き、2022年7月9日に19年の営業を終えています。編集部の人間は2014年から通っていました。よく頼んでいたのはあぶり正油とゆず塩、そして納豆つけ麺。最後まで行列のできる人気店でした。実際に食べたときの写真が残っていたので、味の記録として残します。

この記事で分かること

01

2003年3月から19年、榎が丘の路地にあった

所在地は青葉区榎が丘5-5、モンターナ青葉台。青葉台駅から徒歩3分、約312mの距離です。開店は2003年3月。2022年7月9日をもって19年の営業を終えました。看板には「RAMEN and BEER」と書かれていて、ラーメンだけでなく酒を飲める店でもありました。

02

看板はあぶり正油。夏はゆず塩、名物は納豆つけ麺

あぶり正油は、白濁した動物系のスープに魚介を合わせ、提供の直前に炙った背脂を浮かせる一杯です。見た目はこってりしていますが、口に入れるとすっきりしています。ゆず塩は対照的に澄んだスープ。そして納豆つけ麺が、この店を語るときに必ず出てくる一杯でした。

03

最後まで人気店だった。閉店は経営難ではない

閉店3日前の7月6日も、昼過ぎには長い行列ができていました。創業者はラーメン店での修業歴がなく、和食の下積みから独学で店を開いた人で、その後フランスへ渡りニースで「Ikko Ramen」を営んでいます。青葉台の店は弟が引き継いでいましたが、その弟が奥さんの実家へ移ることを決めたため、閉店が決まりました。

19年で、店は街の一部になる

店が無くなると、その店のことを話す機会も無くなります。「あそこ、閉店したね」で終わってしまって、何がおいしかったのか、何を頼んでいたのかは、誰の口からも出てこなくなる。青葉台の「めん処しかた」は、2022年7月9日に閉店しました。19年やっていた店です。

編集部の人間は2014年から通っていました。8年です。よく頼んでいたのは、あぶり正油とゆず塩。この2つは方向がまったく違う一杯でした。

あぶり正油は、白濁したスープに炙った背脂が浮きます。見た目は完全にこってり側で、実際に香りも強い。ところが飲むとすっきりしていて、最後まで重くなりません。動物系の厚みと魚介の風味が両方立っていて、どちらかが勝っていない。黒胡椒がしっかり振られたチャーシューには、はっきりと焦げ目がついています。

ゆず塩は逆です。スープは澄んでいて、麺は細く、刻んだ白ねぎが沈んでいる。夏に食べたくなる一杯でした。同じ店の同じ厨房から、これだけ違うものが出てくるのが、この店の面白さだったと思います。

そして納豆つけ麺です。横浜青葉チャンネルは2022年1月、Xで「青葉区で一番好きな飲食店を教えてください」と聞いたことがあります。そのとき最後にこう書き添えていました。「ちなみに中の人は、ラーメンしかたさんの納豆つけ麺が大好きです」。

この投稿の4か月後、閉店の告知が出ました。半年後には店が無くなっていたことになります。好きだと公言していた店が、その年のうちに閉じたわけです。

2022年5月9日、青葉チャンネルは閉店を知らせる投稿をしています。「しかたさんの味を最後に記憶しておきたい方、まだ食べたことないけど気になった方、7月9日までに一度足を運んでみてください」。閉店の2か月前でした。

7月6日、閉店の3日前に店の前を撮っています。開店前の時間で、まだ人はいません。白い壁に黒い格子。「RAMEN and BEER MENDOKORO SHIKATA」と手書きされた黒板。玄関の左には狸の置物が座っていて、右にはカンナの黄色い花が咲いています。この日、昼過ぎには長い行列ができていました。最後まで人気店でした。

閉店の理由は、経営が続かなかったからではありませんでした。この店の創業者は、ラーメン店で修業した人ではなく、和食の下積みを経て独学で店を開いた人です。その後フランスへ渡り、いまはニースで「Ikko Ramen」という店をやっています。青葉台の店は弟が引き継いでいたのですが、その弟が奥さんの実家へ移ることを決めた。それで19年の営業に区切りがついたということです。

店が閉じる理由は、たいてい外からは見えません。売れなかったから閉じたと決めつけられることも多い。この店は違いました。閉店の直前に行列ができる店が、家族の事情で閉じたのです。

19年やると、店は街の一部になります。「青葉台のラーメン屋」と言えば通じる存在になり、その店に行くことが生活の一部になる人が出てくる。8年通った人間がひとりいる、というのはそういうことです。そして街の一部になったものが無くなると、街の形が少し変わります。

この記事に載せた写真は、すべて自分たちで撮ったものです。あぶり正油、ゆず塩、納豆つけ麺、そして閉店直前の外観。もう食べられない一杯ですが、こういう形で残っていれば、話をするきっかけにはなります。

この店の思い出がある方は、ぜひお問い合わせフォームから教えてください。何を頼んでいたか、いつ頃通っていたか、それだけでも構いません。この記事に追記していきます。閉店した店の記録は、書いた人間ひとりの記憶では薄いままです。何人分か集まって、はじめて街の記憶になります。

閉店までの流れ

分かっていないこと

この店について、確認が取れなかったことを残しておきます。

創業者が渡仏した年。フランスのニースで「Ikko Ramen」を営んでいることは確認できましたが、いつ日本を離れ、いつ弟が店を引き継いだのかは特定できていません。

納豆つけ麺がメニューに加わった年。閉店時点で名物になっていたことは分かりますが、開店当初からあったのかは分かりません。

ご存じの方は、お問い合わせフォームからお知らせください。裏が取れたものから追記します。
あぶり正油。炙った背脂が浮いて、表面が白く濁ります。黒胡椒とチャーシューの焦げ目が目印
あぶり正油。炙った背脂が浮いて、表面が白く濁ります。黒胡椒とチャーシューの焦げ目が目印
ゆず塩。澄んだスープに細麺、刻んだ白ねぎ。夏はこれをよく頼んでいました
ゆず塩。澄んだスープに細麺、刻んだ白ねぎ。夏はこれをよく頼んでいました
納豆つけ麺。ごまが振られたつけ汁と、太めの麺。小鉢のごはんが付きます
納豆つけ麺。ごまが振られたつけ汁と、太めの麺。小鉢のごはんが付きます
閉店の3日前、2022年7月6日の開店前。「RAMEN and BEER MENDOKORO SHIKATA」の黒板と、狸の置物
閉店の3日前、2022年7月6日の開店前。「RAMEN and BEER MENDOKORO SHIKATA」の黒板と、狸の置物

この店について

店名
めん処しかた(MENDOKORO SHIKATA)
所在地
横浜市青葉区榎が丘5-5 モンターナ青葉台(東急田園都市線 青葉台駅から徒歩3分・約312m)
営業期間
2003年3月 〜 2022年7月9日(19年)
よく頼んでいたもの
あぶり正油、ゆず塩、納豆つけ麺
スープ
鰹をきかせた出汁。あぶり正油は白濁した動物系に魚介を合わせ、提供直前に炙った背脂を浮かせる一杯
注記
閉店した店です。現在は営業していません
この記事は、横浜青葉チャンネルの編集部が実際に通った店の記録です。写真はすべて自分たちで撮ったものを使っています。開店年月・所在地・閉店日・閉店の経緯は公開されている情報で確認しました。閉店した店なので、営業情報としてではなく記録としてお読みください。この店の思い出、頼んでいた一杯、記憶違いのご指摘などがあれば、お問い合わせフォームから教えてください。追記していきます。

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