横浜市青葉区恩田町
青葉区データ

東急でいちばん小さな駅の街
恩田、1日1,012人の谷戸とサニトラと車両工場

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2026年9月4日取材・文 横浜青葉チャンネル編集部

青葉区に、1日の乗降人員が1,012人の駅があります。こどもの国線の恩田駅。東急電鉄の全駅でいちばん少ない数字で、定期券の利用者は集計上ゼロです。改札に駅員はおらず、トイレもありません。その駅の周りに、東急の全車両を検査する工場と、田んぼの残る谷戸と、日産サニートラックだけを売る店と、祖父母の家を継いだ姉弟の甘味処があります。9月9日の「じゅん散歩」でこの街が歩かれます。放送の前に、恩田に何があるのかを並べておきます。

この記事のポイント

01

東急の全駅で乗降人員が最も少ない駅

恩田駅は1日1,012人。東急電鉄の全駅でいちばん少ない数字です。同じ区内のあざみ野駅は12万498人で、およそ119倍の差があります。しかも集計上、定期券の利用者は0人で1,012人すべてが定期外。通勤で毎日通る駅ではないということです。

02

その駅の隣に、東急の全車両を検査する工場がある

恩田駅のすぐ横に長津田車両工場があります。敷地4万4,872平方メートル、1972年10月開設。東急電鉄と横浜高速鉄道の全車両の重要部検査・全般検査をここで行っています。乗降人員が最少の駅の隣に、東急の車両整備の中枢がある。この組み合わせが恩田の面白さです。

03

田んぼが残る谷戸と、古民家の甘味処

恩田町には白山谷戸という場所があります。白山神社の小山を背に、四季で色が変わる田んぼが広がる地形です。その一角に「カフェ明玉庵」があります。祖父母の民家を姉弟が受け継いで2022年12月に開いた店で、店名は祖父の「明」と祖母の「玉枝」から一字ずつ取ったものです。

04

サニートラックだけを売る店

恩田町2073-6に「青葉オート」があります。日産サニートラック、通称サニトラの専門店です。排出ガス規制に適合する1990年から1994年のモデルをリメイクして販売しています。平成の車なのに見た目が古いのは、外観をほとんど変えずにマイナーチェンジを重ねた車だからです。

駅が小さいから、何も無いわけではない

青葉区には6つの田園都市線の駅があります。あざみ野、青葉台、たまプラーザ、市が尾、江田、藤が丘。ここに、もう一つ数え忘れられがちな駅があります。こどもの国線の恩田駅です。

恩田駅の1日の乗降人員は1,012人。東急電鉄の全駅で最も少ない数字です。あざみ野駅は12万498人なので、およそ119倍の差があります。改札に駅員はおらず、トイレもありません。

数字にはもう一つ特徴があります。東急が公表している内訳では、恩田駅の定期券利用者は集計されておらず、1,012人が全数「定期外」です。他の駅は6割前後が定期券の利用者ですから、性格がまったく違う。毎朝この駅から通勤する人がほとんどいないということです。

なぜ利用者が少ないのか。恩田駅は2000年3月29日、こどもの国線が通勤路線化されたときに長津田とこどもの国の間にできた駅です。駅前にはあかね台という住宅地が広がっていますが、駅の周りに商店街はありません。線路沿いに奈良川が流れ、遊歩道になっています。

ここまでは「何も無い駅」の話に見えます。ただ、恩田はそうではありません。

恩田駅のすぐ横に、東急電鉄の長津田車両工場があります。1972年10月の開設で、敷地は4万4,872平方メートル。東急電鉄と横浜高速鉄道の全車両の重要部検査と全般検査をここで行っています。東急の電車は、どの路線を走っていても、いつかは恩田に来る。乗降人員が最少の駅の隣に、東急の車両整備の中枢がある。

この工場は稼働中の施設なので普段は入れませんが、東急グループが夏などに見学ツアーを開催しています。車体をクレーンで吊り上げる実演や、検測車の車内見学ができる回もあります。

恩田町のもう一つの顔は、田んぼです。

恩田町には白山谷戸と呼ばれる場所があります。谷戸は、丘に挟まれた谷の地形のことです。住宅地を抜けると、白山神社の小山を背にした田んぼが広がっています。青葉区は「田園都市」として開発された街ですが、田んぼが実際に残っている場所は限られます。恩田町の面積は1.63平方キロメートル、人口3,095人。区内でも人口密度の低いエリアです。

その谷戸の一角に「カフェ明玉庵」があります。祖父母の民家を、姉弟が受け継いで2022年12月に開いた甘味処です。

店名は祖父母の名前から来ています。祖父が「明」、祖母が「玉枝」。二人の名前を一字ずつ取った「明玉庵」という名は、もともと祖父母が庭の茶室に掲げていたもので、木板の文字は祖父が書いたものだそうです。それをそのまま店の名前にしています。

出しているのは団子や白玉、おしるこなどの甘味です。みたらしあんも粒あんも店で作っていて、団子は母親のレシピをもとに二人で改良を重ねたもの。器には祖父母が集めた茶器を使っています。コーヒーは元町の焙煎店の豆、サンドイッチのパンは青葉区桂台の「こんがりや」のもので、区内の店とつながっているのも特徴です。営業は土日祝が11時から18時、平日は17時半まで。定休日は不定なので、行く前に公式サイトかインスタで確認するのが確実です。

そして、恩田町2073-6には「青葉オート」があります。日産のサニートラック、通称サニトラの専門店です。

サニトラは日産がかつて作っていた小型トラックで、青葉オートは排出ガス規制に適合する1990年から1994年のモデルをリメイクして販売しています。平成に作られた車なのに見た目が古いのは、外観をほとんど変えないままマイナーチェンジを重ねた車だからです。以前の取材で店長は「特徴がある車ですし、幅広い年齢層にファンの方がおられます。普通の車だと物足りないという人たちですね」と話しています。営業は9時から18時、水曜定休。

この4つが、同じ1.63平方キロメートルの中にあります。東急でいちばん小さな駅、東急の全車両を見る工場、田んぼの残る谷戸と古民家の甘味処、そしてサニトラだけを売る店。

2026年9月9日(水)の午前10時10分から、テレビ朝日「じゅん散歩」が恩田を歩きます。番組の予告は「初上陸!緑あふれる隠れ里」「懐かしの旧車を集めた専門店」「雰囲気抜群!姉弟の和カフェ」。旧車の専門店と姉弟の和カフェは、この記事に書いた2軒のことだと思われます。明玉庵は自身のインスタで出演を告知しています。前日の9月8日は隣の長津田(緑区)の回で、こちらは車両基地の見学が予告に入っています。

放送のあと、恩田を訪ねる人が増えるはずです。ただ、恩田駅は1日1,012人の無人駅で、駅前に食事のできる場所はありません。谷戸は人の生活と農業の場で、観光地として整備されているわけではありません。明玉庵は「提供商品は数に限り有」と自ら書いていて、予約もできます。行くなら、その前提で行くのがいいと思います。

乗降人員が最少という数字は、その街に何も無いことを意味しません。恩田の場合、それは「用のある人だけが降りる駅」という意味でした。

青葉区の駅と恩田駅の差(2025年度・1日平均乗降人員)

出典:東急電鉄「2025年度 駅別乗降人員・輸送人員」。こどもの国線の2駅は田園都市線との相互乗換人員を含みます。恩田駅は定期の集計がなく、全数が定期外です。
駅名路線1日の乗降人員恩田との比
あざみ野田園都市線120,498119.1倍
青葉台田園都市線100,09998.9倍
たまプラーザ田園都市線80,82579.9倍
市が尾田園都市線39,42539.0倍
江田田園都市線32,33132.0倍
藤が丘田園都市線25,96825.7倍
こどもの国こどもの国線10,32610.2倍
恩田こどもの国線1,012

恩田町のお店・場所

営業時間・定休日は各店の公式サイト/公式SNSの公開情報です。変わることがあるのでお出かけ前にご確認ください。
名称内容場所・情報
カフェ 明玉庵古民家の甘味処。団子・白玉・みたらしあん・粒あんはすべて自家製。コーヒーは元町の焙煎店、サンドイッチのパンは桂台「こんがりや」恩田町2581/045-961-6810/土日祝11:00-18:00・平日11:00-17:30/不定休/予約可(前日・当日は電話のみ)
有限会社 青葉オート日産サニートラック専門店。1990〜1994年モデルをリメイクして販売恩田町2073-6/045-962-0671/9:00-18:00/水曜定休
長津田車両工場東急電鉄・横浜高速鉄道の全車両の重要部検査・全般検査。1972年10月開設、敷地44,872m²恩田町(恩田駅すぐ)/⚠️稼働中の施設。見学ツアー開催時以外は入れません
白山谷戸・恩田白山神社田んぼの残る谷戸地形と、小山の上の社恩田町2556周辺
いちごのさんぽみちいちごの収穫体験恩田町16-1/090-9019-6488

この記事について

エリア
横浜市青葉区恩田町(郵便番号 227-0065)
面積
1.63km²
人口
3,095人/1,528世帯
最寄駅
東急こどもの国線 恩田駅(無人駅)
恩田駅の開業
2000年3月29日
恩田駅の乗降人員
1日1,012人(2025年度・東急全駅で最少)
乗降人員の出典
東急電鉄「2025年度 駅別乗降人員・輸送人員」
乗降人員は東急電鉄「2025年度 駅別乗降人員・輸送人員」の1日平均です。各店の営業時間や定休日は公式サイト・公式SNSの公開情報で、変わることがあります。お出かけの前にご確認ください。「じゅん散歩」の内容は放送前のため、番組の公表している予告と、出演を告知しているお店自身の発信にもとづいて書いています。長津田車両工場は稼働中の施設で、見学ツアーの開催時以外は中に入れません。記事の見出し画像は恩田駅の実際の写真です(横浜青葉チャンネル撮影)。

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